目標と達成の積み重ね。

遷延性意識障害の母と過ごした7年を振り返り、今だから綴れるお話です😊

回顧249

翌日、10時からの面会時間を待ちわびて母の病室へ向かう。
窓際のベッドに居ない…。通りかかった看護師に尋ねると詰所に一番近い部屋に移っていた。心電図モニターもない故に、目の届きやすいとこに移されたのだろうと推測する。
先ずは、母が無事でよかった…。あらためてショックを受けたのは、傍らに置かれたポータブル吸引器の使い方だった。吸引の度に先端を棉花で消毒するカテーテルは1日1本の使用法。経済的な事情だろう。前の病院のベッドサイドのものとは違い、吸引力が弱いのか、吸引しても喉のゴロゴロが残るような感じがある。それで、更に回数が増え、カテーテルの衛生面も気になる。「私も吸引を学んできた、使わせて欲しい。」と告げたが不可だった。病院と名のつく場所で、こんなにも差があるのかと、母に申し訳なくて俯いてしまう。その時ソーシャルワーカーさんに声をかけられた。昨夜、バイタルが安定せず、急遽、部屋を移動したこと、微熱もあり、入浴が延期されたことをきちんと伝えてくれた。憔悴しきっている私の本心を汲んでいるのか「精神的な辛さから、在宅医療がよかったと思っていませんか?」と言われた。頷いた。同情の目を向けられているのを知りながら、何度も頷いた。
でも、始まったばかりだ。慣れるしかない。悶々としているところへリハビリの先生が「特注車椅子ですよね?離床出来る時に困らないように使い方教えて下さい。」と明るく声をかけられた。ソーシャルワーカーに促され、気持ちを切り替えた。車椅子の機能を説明するのが、その日、母のために私が出来たこと。