回顧220【説明】
衝撃を受けた翌日。
介護職員から聞いた経緯を、主治医のT先生に冷静に伝わるようにメモに記し、看護師さんに預けた。
午前中の外来診療を終えてT先生が訪室され、「変更した抗生剤の効果が見られ、熱は下がりました。バイタルも安定傾向です。そして…メモを拝見しました。入院当初は、発熱だけの報告だったため脳の検査はしていませんでした。これからCTを撮ります。」と仰った。
ベッドごとの移動で母も驚いただろう。
撮影がすんで病室に戻ってきた母の髪を拭き、スキンケアと、手足のマッサージをして検査結果を待つ⌛
やがて、先生から呼ばれ別室で説明を聞く。
「小脳梗塞が見つかりました。それによって脳幹機能が落ちています。既に治療期を過ぎてしまい、回復具合の見通しが立ちません。入院当初の検査が出来ていなかったこと、申し訳ありません。しかし、夜半からの症状を顧みると、一晩中耐えて下さったことが有難いです。これまでの生活に戻れるよう最善を尽くします。」
と仰った。
ああ…母をとてもとても苦しい目に遭わせてしまった。
先生にも苦々しい説明をさせてしまった。
険しい現実を受け入れるしかない。
泣いてしまった。
どうにもならないのに泣いてしまった。
病室に戻る前に涙を止めるのが精一杯だ。