回顧
やまゆり園の事件から2年。
関係者方々には、胸中お察しするばかりです。
2年前は高齢の母の転院を迫られ、
とても辛い時期で、この事件を
自分達の境遇に重ね、複雑な思いだった。
それは……
2011年、母は脳血管疾患から植物状態へ。
瞬きがある、自発呼吸がある、命がある、
自宅に帰れるという希望。
数ヵ月後には自宅近くの介護施設を
利用し、自宅で過ごす時間も確保して
とても充実していた。
しかし、施設での深夜に急変。
植物状態なので僅かな違和感しか
ないにもかかわらず、夜勤スタッフは
気付いてくれた。しかし、その報告を
受けた管理者が看過してしまい、
母は治療のタイミングを逸し、
目を開けることもなく呼吸不全に
なってしまった。そのため、医療ケアが
増え、元の施設には戻れず
新たな転院先を探し始めた。
合併症の不安もあり、
受け入れ先はなかなか見つからず、
在宅医療も視野に入れるが、
協力体制が整わない。
転院期限が迫り、途方にくれる中で
この事件が起きた。
容疑者の
『障害者は不幸を作る』
の発言に、反感は持てなかった。
それまでに、『かわいそうに』『そんな身体になりたくない、なったら迷惑かける』の言葉をかけられたり、年齢や病名や家族構成をずけずけと質問されたり、反応に困るような視線を向けられたりした経験が思い出された。
それは殆どの人が
『健常者が上』という意識があるからだろう。
様々な要因で、個人の夢や希望を制限されて
いる人は実在する。中には、人知れず、我慢や諦めの道を選んでいる人もあるだろう。
しかし、たとえ社会的弱者でも
各々の夢や希望を持っている人は
不幸ではない。
福祉が充実してきている時代に、
『普通の人』の見解が歪まないようにと
願う日々である。